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北斗七星スプレッド

~十二支の守護星~
十二支(じゅうにし)は、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類の動物、またはそれに割り当てられた漢字の名称です。古代中国から日本に伝わり、元々は木星の公転周期に由来する天の運行を基準として、方角や時刻、そして年を表すために使われてきました。現代では年賀状や誕生年などで一般的に使われ、日本独自の動物信仰と結びついて、それぞれの動物に象徴的な意味が込められています。

虹屋の浮世浪漫タロットの大アルカナ「10.運命の輪」に描かれている獣「寿(す)」は、江戸時代後期の浮世絵である遠浪斎重光の作品で描かれた十二支の動物をひとつの生き物「寿」を題材としています。

運命の車輪の四方に配置されたモチーフは、日本の吉祥を示す「宝尽くし文様」です。東に丁子(クローブのこと。香りが邪気を払い、香料・薬用として重宝されてきた)、西に宝珠(災難を除き清らかにする力を持つ)、南に七宝(同じ大きさの円を4分の1ずつ重ねて連続させた文様が、無限に広がることから「円満・調和・ご縁・繁栄」の象徴)、北に分銅(備蓄や財産を守る象徴)を描いています。

浮世浪漫タロットのバッキングデザインも調和を象徴する七宝柄で、江戸切子の伝統文様のひとつでもあります。

さらに、車輪の手前に描いたのが「七星剣(しちせいけん)」です。北斗七星の文様が施された刀剣で、国家鎮護や破邪滅敵の目的で作られたとされます。最も有名なものは大阪の四天王寺所蔵で、聖徳太子の佩刀と伝えられる国宝《七星剣》で、刀身には北斗七星や雲形、竜頭、白虎などが金象嵌されています。その他にも、法隆寺や正倉院にも七星剣が伝わっており、日本で合計7振が確認されています。

江戸時代に庶民にも広まった十二支と北斗七星信仰

十二支と北斗七星は、江戸時代においてすでに天文学、暦法、そして人々の信仰に深く結びついていました。
北斗七星の柄杓の柄が指し示す方角で、季節や時刻を把握し、柄が指す方角に十二支を割り当てることで「十二直(じゅうにちょく)」の暦が作られ、人々の生活に広く利用されていました。たとえば、冬至の頃は柄が真北(子(ね)の方向)を指し、この月が「子(ね)の月」とされました。十二直は、日々の吉凶を占う指標として使われ、特定の十二支の日には、特定の行動(旅行、結婚、商談など)を避けるべきだとされていました。

また古代中国の道教では、北斗七星は人間の寿命や運命を司る神聖な星と考えられていました。この思想は日本にも伝わり、妙見信仰として広まります。妙見菩薩は、北極星や北斗七星を神格化した仏様で、国土を守護し、人々の災厄を除くと信じられていました。

江戸時代には、この信仰がさらに庶民の間で定着しました。生まれ年の十二支によって、北斗七星のいずれかの星がその人の「本命星」として定められ、その星を信仰することで開運や厄除けができると考えられました。これは、干支と北斗七星が個人の運命と結びついているという信仰に基づいています。

このように、江戸時代においても、十二支と北斗七星は天体観測と信仰の両面で、人々の暮らしに深く根ざした重要な概念でした。

諸国名橋奇覧 三河の八ツ橋の古図・葛飾北斎の浮世絵

葛飾北斎と北斗七星の直接的な関連性は、一般的に知られている美術史上の定説ではありませんが、彼の作品や思想を鑑みると、いくつかの興味深い関連性を考察できます。諸国名橋奇覧 三河の八ツ橋の古図では橋を渡る人々が描かれていて、左から右に向かって丸い浪人笠(藁の笠)を線で繋ぐと北斗七星の形になることで有名です。

宇宙観と自然観


北斎は、自然の力や宇宙の摂理を深く追求した芸術家でした。彼の代表作である『冨嶽三十六景』に描かれた富士山は、単なる風景画ではなく、日本の象徴であり、また宇宙の中心としての存在感を放っています。北斗七星は、古代から天の中心、宇宙の秩序を司る星と考えられてきました。北斎が富士山に託した普遍的なテーマは、北斗七星が象徴する宇宙観と通底する可能性があります。彼は、自然の神秘的な力や法則を、富士山という形で表現しようと試みていたのではないでしょうか。

信仰と人生観


江戸時代、北斗七星は妙見信仰の対象として広く崇拝されていました。妙見菩薩は、北極星や北斗七星を神格化したもので、人々の寿命や運命を司ると信じられていました。北斎は、晩年に「画狂老人卍」と号しました。この「卍」は仏教的な意味合いを持ち、彼の信仰心を示唆しています。また、彼は生涯を通じて画題を変え続け、常に新しい表現を追求しました。これは、運命や宿命にとらわれず、自己の道を切り開いていくという強い意志の表れと解釈できます。北斗七星が象徴する「運命」や「宿命」に対し、北斎は自らの芸術を通して向き合い、それを超越しようとしたのかもしれません。

構図の妙


北斎は、大胆でダイナミックな構図を得意としました。例えば、『神奈川沖浪裏』の大波は、まるで生きているかのように力強い動きを見せます。この構図には、北斗七星が持つ「北」という方向性や、回転するような動き(七つの星が柄杓の形を作る)を思わせる要素が隠されているかもしれません。また、彼は遠近法を巧みに利用し、画面に奥行きを生み出しました。これは、天体の運行が遠い宇宙の彼方で起こっていることを視覚的に表現しようとする試みとも考えられます。

これらの考察は、北斎の作品と北斗七星が直接的に結びつく証拠ではありませんが、彼の芸術の根底にある「宇宙の真理」や「自然の摂理」を解き明かす鍵となるのかもしれません。

北斗七星スプレッド

北斗七星信仰は、古代インドから中国、やがて日本に伝わりました。奈良時代には庶民に広まり、平安時代には陰陽道で特に人気を集めました。北斗七星に祈れば、災いを避け、長寿を得るとされたのです。北信信仰では、北斗七星の七つの星のうち、一つが人それぞれの守護星となり、干支で決まります。

①現在の状況
 貪狼星とんろうせい(おおぐま座α星ドゥーベ)
 干支ねずみ
②妨げている事
 巨門星きょもんせい(おおぐま座β星メラク)
 干支うし・いのしし
③過去の気持ち
 禄存星ろくぞんせい(おおぐま座γ星フェクダ)
 干支とら・いぬ
④現在の気持ち
 文曲星ぶんきょくせい(おおぐま座δ星メグレズ)
 干支うさぎ・とり
⑤潜在意識
 廉貞星れんていせい(おおぐま座ε星アリオト)
 干支たつ・さる
⑥あなたへの関わり方
 武曲星ぶきょくせい(おおぐま座ζ星ミザール)
 干支へび・ひつじ
⑦結果・今後の気持ち
 破軍星はぐんせい(おおぐま座η星アルカイド)
 干支うま

北斗七星スプレッドは、7枚のカードを使用し、それぞれのカードが質問の異なる側面を深く掘り下げる役割を持っています。

  • カードの配置と意味: 一般的な例では、1枚目が「現状」、2枚目が「原因」、3枚目が「過去の気持ち」、4枚目が「現在の気持ち」、5枚目が「潜在意識」、6枚目が「相手との関わり方」、そして7枚目が「結論」といった意味が割り当てられます。
  • 流れと洞察: この並び方は、単に過去・現在・未来を占うだけでなく、問題の根源(原因、過去の気持ち)から、表面には出てこない心の奥底(潜在意識)、そして具体的な行動指針(関わり方)までを段階的に示しています。これにより、相談者は、なぜその問題が起こり、どのように対処すべきかについて、より多角的な視点を得ることができます。

2. 運命と選択の象徴


はるか昔から、北斗七星は運命や寿命を司る神聖な星と考えられてきました。このスプレッドが「北斗七星」と名付けられていることは、単なる形状の一致以上の意味を持つ可能性があります。

  • 運命の探求: 北斗七星スプレッドは、恋愛や人間関係など、特定の相手との運命的な結びつきや、その関係の行く末を占うのに適しているとされます。これは、北斗七星が象徴する「運命」というテーマと深く関連していると言えます。
  • 自らの選択の重要性: 7枚目の「結論」のカードは、運命が決定されていることを示すだけでなく、現状のままで進んだ場合の「可能性」を示唆するものと解釈できます。タロットは未来を断定するものではなく、あくまで指針を与えるものです。北斗七星という運命的な象徴を用いることで、相談者が自らの意志で運命を切り開く重要性を再認識させる意図があるのかもしれません。

3. スピリチュアルな繋がり


北斗七星は、夜空で道しるべとなる星であり、古代から旅人や航海者の信仰を集めてきました。

  • 道標としての役割: このスプレッドは、人生の岐路に立っている時や、複雑な人間関係で迷っている時に、進むべき方向性を示す「道標」として機能します。それぞれのカードが、具体的なアドバイスや気づきを与えることで、相談者が自分自身の「羅針盤」を見つける手助けをしてくれます。
  • 潜在意識へのアクセス: 5枚目の「潜在意識」のカードは、相談者が自覚していない心の奥底にある感情や願望、恐れを浮き彫りにします。北斗七星が夜の闇を照らすように、このカードは心の闇に光を当て、真の問題点や解決策を浮き彫りにする役割を担っていると考えられます。

このように、タロットの北斗七星スプレッドは、単にカードを並べるだけでなく、その名が象徴する「運命」「道標」「深遠なる真理」といったテーマを、タロットのリーディングを通じて探求するための、非常に示唆に富んだ占術だと言えるでしょう。

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